時代の変化にハッとした【MAKERSクリスアンダーソン】感想

 感想は一言でいうと、前半は面白くて、後半から少し長いなと感じました。でも、この理由ははっきりわかります。それは、後ほど書きます。

 【MAKERS―21世紀の産業革命が始まる
 【著】クリス・アンダーソン(Chris Anderson)

内容(「BOOK」データベースより)

ワイアード』US版編集長で世界的ベストセラー『フリー』『ロングテール』の著者クリス・アンダーソンが、新産業革命の最前線へと読者を誘う。今日の起業家は、オープンソースのデザインと3Dプリンタを使って製造業をデスクトップ上で展開している。カスタム製造とDIYによる製品デザインや開発を武器に、ガレージでもの作りに励む何百万人という「メイカーズ」世代が、製造業の復活を後押しする。ウェブのイノベーション・モデルをリアルなもの作りに持ち込むことで、グローバル経済の次の大きな波を起こすのだ。世界規模で進行する「メイカームーブメント」を決定づける一冊。

○時代的な流れで書いてある。
 この本では、イギリスの産業革命の頃から、働き方がどう変わってきたかと言うことが書かれています。古いことはさらりと書かれていますが、パソコンが出てきた時代、それが家庭に普及している頃、この辺りの頃30〜40年前?くらいから詳しく書かれています。

 会社の変化、どんな企業が生まれてきたか、どう対処してきたかなんて書かれているので大変面白かったです。

 「産業革命は時間を生んだ」っていうのも納得しました。

 確かに、もう必需品を作るために生きている人よりも、嗜好品、余暇を過ごす為の商品の方が高い価値が付くような社会になっているように見えます。
 こういった見方を教える世界史、日本史の授業もないのが残念ですね。
 
 私は、1995年ごろ、まさに家庭に普及してきた頃までワープロしか知らなかったので。

○ものづくりは国の基本
 本書内にあった「ものづくりは国の基本」って箇所は、へー、確かになんて思いました。今は、投資も含めてビットの世界でお金は動いているように見えてしまうけど、流通と小売がなければ、食べるものも着るものも住むところもなくなってしまうわけで。

 アトムとビットの関係。

 本書で、製造業が消えれば、銀行員かマグドナルドか旅行会社の添乗員に国民全員がならなければならない、なんてかかれていました。
 確かに、ルクセンブルクモナコなんて実情そんな感じだし。
 最近、わが国は、観光客誘致に躍起になってますけど、そういった小国になるための店じまいの時期に入ってるんですかね。
 
ロングテールを持つマイクロマーケットの時代
 以前は皆が同じものを求める。ブロックバスターが勝利した時代。でも今では、少量多品種、ロングテールの時代。
 これは、別に昔の人が嗜好が均一だったわけではなく、流通革命の結果と書かれていました。製造革命ではなくて、あくまで流通革命、と。

○これからは、皆が製造者
 半分くらいいった辺りから、3Dプリンタを使って皆が製造できる。アイデア一つで繋がってものづくりができると書かれています。
 この辺りから著者の専門なのか、具体的な事例も多くなり、記述が細かくなっていきます。事例も豊富です。

 ただ、私の場合、この辺りから少し退屈になってきました。

 これは、自分の知識や興味によるところだと思っています。私はIT、ネットもあまり理解してできていません。特にこれを利用して何かをやってるとか、新しい仕組みを考えているなんてこともないです。

 むしろ、ただ恩恵を受けているのみで。昔は口コミやテレビで情報集めたり、電話で確認や予約してたのが、ネットができて、何でも買えるし便利になったなーくらいの。
 花火大会とかお祭りなんて、若い人はわからないけども、昔は雑誌やテレビしか情報源なかったんだから。

 少し話がそれましたが、そういったわけで、ここ数年の流れを把握しようとかんがえている人には、後半もばっちし。

○全体
 全体を通してみると、時代の流れがよくわかるようにかかれているなと思います。
 メイカーズというタイトルにあるように、「いったんビットの世界、情報が社会の中で優位になったような気がしても、人は対価を超えてビットをアトムに変換する努力をして社会を変えていく、そんなものづくりの精神から切り離すことはできないんだよ」って、メッセージ、事例がよく見られました。

 ものづくりをしている人も、そうでない人も、ネットの普及の前から生活していた世代も、それ以降の世代も、社会がどう変わってきたかを知るための読んでおいてためになる本だと思います。

 なんせ、時代の進歩が早くてどんどん変わっていく、そして変わっていったことはすぐに忘れてしまうから。一度、振り返ることもためになると思います。
 
 ネットの普及の恩恵も本の中で書かれていますので、ご自身の経験を活かして、周りの人と繋がっていけば、何か大きなことでなくても、生活を変えるモノがうまれることもありえますから。

 そういった展望をつかむためにも、一度読んでおくとよいかと思います。

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