滞在日記?「アヘン王国潜入記高野秀行」【本感想】

すごいとこだな、こんな世界があるなんて。この本は旅行記なんかじゃなくて、滞在日記ですよね。

初めて、高野さんの本を読みました。お名前はもちろん以前から知っていたんですが。


本の表紙は、こんな感じです。


内容(「BOOK」データベースより)

ミャンマー北部、反政府ゲリラの支配区・ワ州。1995年、アヘンを持つ者が力を握る無法地帯ともいわれるその地に単身7カ月、播種から収穫までケシ栽培に従事した著者が見た麻薬生産。それは農業なのか犯罪なのか。小さな村の暖かい人間模様、経済、教育。実際のアヘン中毒とはどういうことか。「そこまでやるか」と常に読者を驚かせてきた著者の伝説のルポルタージュ、待望の文庫化。

著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
高野/秀行
1966年東京都生まれ。早稲田大学探検部当時執筆した『幻獣ムベンベを追え』でデビュー。2006年『ワセダ三畳青春記』で第1回酒飲み書店員大賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

これまでこの方はトラベラーというか、秘境の旅行記を書いているという認識でした。
誰も行かない国のことを書き綴っているというか。
旅行記で有名な作家さんって、他にも名前は挙げませんがあんな方、こんな方いるじゃないですか。

しかし、初めて本を読んでみて、少し印象が変わりました。
いえ、だいぶ大きく変わりました。


ただの旅行記ではないんです。高野さんは文化的、歴史的な背景から迫ってるんです。
しかも、身を置いて。←これがすごい。
どちらかと言えば、これはお気楽旅行エッセイの類ではなく、潜入飛び込み取材になるのではないでしょうか?


旅行記と言うと、
「こんな物食べて、こんなもの見て、あの人たちはこんなことしてた」
といった、自分の体験したこと危ない目にあったことををおもしろおかしく書いたものだと思うんですけど。

この本では、現地の人の生活スタイルや信仰といったあくまで彼らの生活に寄り添いをそれを明らかにしようとした本なんです。
でも、決して報告書みたいな堅苦しい文章ではなくって、
著者の文章はあくまで、日記のように読みやすいんです。

書かれた内容時点から時間が経っていますが、へえぇー、ということばかり。うん、おもしろかった。

しかし、こんなに情報の遮断された地域があるんですね。
しかも移動が制限されているわけでもなく、すぐそこでは外からの情報が自然に入っているというのに。

法による支配か、思想による支配か、日本でのんびり暮らしていると気づかなかったことです。

よし、次はここへ行こう! とは思いませんが、あの人たちは、どのように年を重ねていったのか?
町はどう変わり、どう変わらなかったのか?
気になります。


アヘン王国潜入記の詳細や口コミはこちらでも。
アヘン王国潜入記 (集英社文庫)